思春期は自立に向かう大切な時期
このことは、いろんな文献で目にしますが本当にそう感じます。
小学校低学年くらいまでは「ママパパ大好き」で手のひらの範疇だったのが、思春期に入ると行動範囲が広がり、なんだかコミュニケーションも塩対応。人間関係も家庭内から外に向く時期。
思春期は、こども本人が困っているケースもありますが、むしろ大人が困っていることが多く、大人が自分自身をアップデートする必要があるのだろうなと気づきました。
第1回でご紹介したように、10歳前後で脳の発達が大人と同じになり物事を客観的に見られるようになるからこそ、気持ちの変化もあって当然。
大人が自分の思春期の頃を思い出しつつ、その頃とは世の中も大きく変化しているので、世の中の変化やそれにまつわる子どもたちの成長について学ばなければと思えます。
私が代表をしているNPO法人ワークライフ・コラボが運営している「まちのがっこう休日子どもカレッジ」(※注1)には、年間でのべ1500名程度の小学生がやってきます。
そこでも、日々さまざまなドラマ(ケンカやトラブルも含め)があります。
そこから見える傾向もお伝えしたいと思います。
「輪」ができ始める
小学校3~4年生頃は、小グループができ始めてくる時期。
高学年になると特に女子に「結束の強いグループ」ができる傾向あり、それがトラブルの元になることも増えます。
スポ少など地域活動に加わる機会も増えますが、そういった「輪」ができる時期には、コミュニケーションの経験値や価値観の違いから、もめごとが起こるのは必至。
しかし、もめごとが起こること自体は決して悪いことではなく、その解決の仕方に問題があるように思います。
それを都度大人の力で成敗したり、声の強い側を𠮟りつけるのではなく、日頃から「何かあったら話してね」と、いつでも話を聴くよ、という(心理的安全性の感じられる)大人の態度も影響するように思います。
「思春期は、自分探しの旅の途中なんだ」と考える
「思春期は、自分探しの旅の途中なんだ」と考える、ということを以前小学校のPTA保護者向けの思春期講座に参加した際に、カウンセラーの方がおっしゃっていました。
客観的に見る目が育っているから、いい加減な大人やつじつまの合わない言動が許せなくなる。
反発する。
その反発の仕方がわからず、モヤモヤしたり拗ねる。
自己肯定感が下がる。
また、友だちが一番の時期。特に趣味や感覚が近い友だちと深く付き合うようになり、複数で集まると気持ちも大きくなるため、ますます大人の言うことを聞かなくなる。(そしてトラブル)
・・・もうカウンセラーの方のお話を聞きながら、我が子のこと、まちのがっこうの子どもたちのことを思いだし、当てはまりすぎて笑ってしまいました。
その当時、小学校高学年だった息子が友だちとトラブルを再々起こしていたので、これらの話を聞いて、ホッとしたことを思い出します。
講演の最後には「反抗期つらい、という保護者の方には『それは8割子育て終了、あとは自立に向けて見送るだけですね』と伝えています」と言われていて、そうか、これは大人側の(自分の)向き合い方の問題で、修行の時期なんだなと腹落ちしました。
思春期は、ネガティブなことばかりじゃない
思春期は「嵐が通っていく感じ」で、大変なことのように話しましたが決して悪いことばかりではない、伸びしろのある時期だと感じます。
まちのがっこうで思春期を過ごしたこどもたちのその後の成長は、本当に大人が考えさせられ、感動します。
- 子どもにとっては「『自分は何者か』を考え始める時期」→自分をつくるチャンス(アイデンティティの確立)であり、大人の価値観をそのまま受け取るのではなく、自分の判断軸が育つ。
- 親にとっては「手放しと見守りが育つ時期」→親子関係が成熟し、人生のパートナーのような関係に近づく。
- 地域にとっては「未来をつくる芽が育つ時期」→思春期世代との関わりは、大人側にも柔軟性や対話力が育つ。世代間の関わりは、地域の活力を生む。
こうした視点で見ると、「トラブルにどう対処するか」だけではない、希望のあるコラムとして終えられるでしょうか。(笑)
次回からは、思春期の子育てでこんなアイテムが役立ったよ!、こんなコミュニケーションが有効だったよ!というモノコトを、実際の体験談を交えて紹介していきます。
注1 まちのがっこう休日子どもカレッジ・・・長期休暇に小学生を預かり、地域交流での体験の補完や非認知能力向上を目指した官民学連携の取り組み。
※思春期とは、身体的には二次性徴の出現から性成熟までの段階のことをいい、精神的には子どもから大人へ向かって自我の発達の時期ならびに自己認識パターンの確立段階、性的欲求が出現し、さらに社会的、経済的には、相対的な依存状態から完全に自立するまでの過渡期のこと。平均的には、女性では8~9歳頃から17~18歳頃まで、男性では、11~12歳頃から18~19歳頃(WHOの定義による)
※愛媛県では、「思春期精神保健相談(外部サイト)」もおこなっています。

